高い財布vs安い財布(修正版)
以前、裏事情を書きすぎて同じ革製品の業界からクレームを頂きましたので色々削って修正しました(汗)
高い財布vs安い財布
こちらもよくある質問です。
このページを見られている方の多くは恐らく、「ハイブランド」か「それ以外か」の比較が気になるかと思います。
「このブランド使っていたら恥ずかしいのかなぁ。」だったり「彼女に無名のブランドを渡したら恥ずかしいのかなぁ。」だとか、周りの目が気になりますよね。
正直なところ製作現場にいる者としては好きなデザインであれば何を買っても良いと思っています。
そのブランドのファンであれば高くてもご購入頂いても良いと思います。もしくはデザインをとても気に入ったのであれば同じくご購入頂いても良いと思います。
しかし、周りの目を気にしてステータスや見栄でアイテムに対して大金を使う事はとてももったいない事だと思います。
特に日本の方々だとブランドのステータスなど周りの目を気にされる方が多い傾向です。
そこで参考になる程度で説明していこうかと思います。
よく聞かれることですが、、
「やっぱりハイブランドがいいの?」っという質問はよくもらいますが、最近は私自身この業界にいるため考えさせられる質問です。
「製法技術」や「人件費」の点で疑問が年々多くなってきています。
最近の事情として、「メイド イン 〇〇」で10万円以上する財布を売っている超ハイブランドでも、
「〇〇という国に〇〇人を安く雇って住まわせて作らせている。」というカラクリがあります。
なので、とあるハイブランドは「メイド イン 〇〇 by 〇〇(〇〇に住んでいる〇〇人によって作られたもの)」と海外でも皮肉られています。
そもそも、「メイド イン 〇〇」自体が怪しいこともあります。
ハイブランドでも安く製造するための様々なカラクリがあります。革や薬品など仕入れ単価が高くなっている最近は特に。しょうがないのですが。
それに「日本の職人VS海外の職人」のページでも書かせて頂きましたが、もはや各国の職人の平均レベルはそれほど変わりません。
どの国にも個人レベルで言えば飛びぬけた職人はいます。しかし、全体の平均レベルはそう変わりません。
ではさっそくですが、比べていきましょう。
ここにエルメスとナガタニというブランドがあります。
財布比較 | |||
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¥189,800~ | ¥32,400- | ||
Amazon | ナガタニ | ||
▶エルメスの財布をもっと見る。 | ▶ナガタニの財布をもっと見る。 |
いつの日か手に持って比べれば分かりますが、パッと触って違いは分からないと思います。
ナガタニも超ハイブランドと同じ超高級革を使用しています。
ちなみにこちらのエルメスの裏地はシルクを使用しています。
ナガタニの方は裏地も全てレザーを使用しています。
当然ながら商品の原価で考えるとナガタニの方が高くなります。
では、なぜこんなに価格が違うの?
ハイブランドにとって宝石、香水、バッグ、財布や小物系の分野はとても利益率が高く売れたらありがたい分野です。
実際、これらの分野のアイテムはハイブランドのロゴを入れるだけで、通常の市場価格より数倍高くしても売れるからです。
でもなぜこんなに高くするの?
なぜ高くなるのでしょうか?
「デザイン」「製法技術」「素材の原価」「人件費」「ブランドのステータス維持」「アフターフォロー」「税金」「広告費」などがあります。
最初に書かせて頂きました「製法技術」と「人件費」に関しては疑問を持つことがありますが。
ハイブランドでは「ステータス」を落とさないためにもともと高い価格を設定しています。
さらにハイブランドは特に莫大な「広告費」をかけています。
CMやメディア、タレントの使用以外でも、ハイブランドは都内でも超1等地にお店を構えていたりしますよね。1つの店舗の維持費だけでも億以上はする物件もあります。
超1等地にお店を構えることでその店舗の利益の有無よりも「ブランドのステータスを高める」ことを優先している店舗もあります。
革製品に限っては、、
ローカルブランドでも言えることですが、革製品に限っていいますと製作を失敗したときのリスクが大きいため高い価格を設定されています。
場合によっては革製品は製作途中で失敗をしたら革を再び1枚買い直さないといけません。革は部位によって模様が違うので革を丸々1枚全て使う事は少ないのです。
こだわりがある質の良い革を使用すればするほど、革製品はリスク管理のため商品価格がどうしても上がってしまします。
安い革はホントに安いので、本革でも数百円~数千円で財布は買えますが。
高い革と安い革。
革にも品質があります。
牛革、ワニ革、など様々あります。とても長くなるのでここでは詳しくは書きませんが、牛の年齢によってはさらに革の種類が細かく分かれます。
牛革に関して言えば高い革財布は共通してカーフスキンという若い牛の革を使用し、柔らかいものが多いです。
そちらはカーフスキンについてをご覧下さい。
安い革財布は手触りが雑であったり、革が固かったりすることがあります。
しかし、最近のハイブランドでは少し硬く傷がつき難いサフィアーノレザーなどを使用していることが多いです。
サフィアーノレザーとは傷や汚れ、そして、表面に樹皮加工をしているため防水性にも優れています。
ならもうハイブランドを買う必要はない?
いいえ、そんな事はありません。
ハイブランドのスゴさは高価格でもファンを作れるほどのデザイン力とこだわりにあると思います。
世界的なデザイナーが仕上げるデザイン力は私もうらやましく感じます。
実際にハイブランドが新しいデザインを発表した後に、他のローカルブランドたちはそのデザインや方向性をオマージュしているのが現状です。
流行を作っているのはやはりハイブランドです。
個人的にハイブランドで好きなのはロエベやステラマッカートニなどです
お気に入りハイブランド | |||
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¥76,686~ | ¥34,800- | ||
Amazon | Amazon | ||
▶ロエベの財布をもっと見る | ▶ステラマッカートニーの財布をもっと見る |
お気に入りローカルブランド | |||
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¥29,160~ | ¥37,800- | ||
エーテル | Amazon | ||
▶エーテルの財布をもっと見る | ▶ユハクの財布をもっと見る |
パッと見て高いか安いか分かる??
「高い財布」と「安い財布」って見た目ですぐ分かるものなの??
ここでいう安いとは1万円以下の商品とさせて頂きます。
私も現物をよく触ったらだいたい違いが分かります。
5,000円以下の財布に関しては皆さんでもすぐ分かると思います。
あくまでも触り慣れている者の意見ですが。
触りなれていない方は本革か合皮かすらも分からないと思います。
そちらに関しては本革VS合皮をご覧下さい。
しかし、2万円あたりの財布からは手触りと見た目で10万円以上の財布と比較しても違いが分からなくなってしまう事が多いです。
ただ、2万円以上するものはだいたいロゴがついているので知識がある方であれば値段はすぐ分かります(笑)
安い財布だからって問題があるかどうか。
特に問題はありません。
ロゴがついていないものを買ってしまえばはっきり言って周りの人は分かりません。
他人からご自分の財布をまじまじと触られることも人生でほとんどないでしょうし。
ただ、ご購入の際に製法技術や接着剤などに問題があるハズレ財布を引く確立は高いかもしれません。
送られた来たものを見て「アレ?糸がほつれてない?」っというハズレが来るかもしれません。
よく「安いアイテムは糸がほつれていたりする!」「つぶれやすい!」
と言ったことが言われていますが、安いアイテムはB品をはじかずに売っていることが多いです。
「管理費」にコストを費やさず、安かろう悪かろうがよくあります。
なので、安い財布はネットよりも現物を見て買ったほうがよいです。
安い財布をネットでご購入されるなら「返品可能」と記されている商品をお選び下さい。
安くてもしっかりとしたアイテムはたくさんあります。
安い財布を買うときは本革をオススメします。安い合皮だと表面がはがれてくることがあります。
そちらの理由も本革VS合皮をご覧下さい。
まとめ
- ハイブランドは様々な要因で高くなる。
- ハイブランドは高くても売れる。
- 安い財布もしっかり作られている。
- だけど、不良品が来る確立も高くなる。
- 2万円あたりから10万円以上の財布と比べても分からなくなってしまう。
私も以前はステータスや人からの見た目を気にしてブランド物を買ったりしていました。
しかし、この革製品の業界に携わることになってから色々考えが変わりました。
まぁその、商品1つ1つのコストなどの裏事情を知ってからなんですが(笑)
「安くていい物」は沢山あります。
この業界に限らずの話ですが、世界的に製作技術は上がっています。
昔の100均はあまり使えた物ではなかったのに、最近の100均はとてつもなく使える物が沢山あります。
もはや日本で100均を買って海外に数倍の値段で転売している人がいるほどです。
「安いからダメ」「〇〇歳でこのブランドを持つとは恥ずかしい」「無名のブランドをプレゼントしてもなぁ」
っという考えは非常にもったい考えです。可能性をどんどん狭くしていっていると思います。
人から見られた幸せを追うばかりでは自分らしさを失ってしまいます。
でも、確かに物を売るために私たち企業サイドが世の中の皆様にそういった曲がった常識や偏見を植えつけているのは事実なのですが(汗)
それに惑わされず好きなものを買って頂きたいです。高い安い関係なく胸をはってショッピングを楽しみましょう。
今回はクレームが来ませんように、、、
最終更新日 2023年10月17日